家を出るにも出られずに1日キッチンで過ごした。
どういうわけか、朝からめいいっぱいフランスを感じる1日だった。
あるものでポタージュを作ろうとコンロの前に立つと、窓の外に吹雪が見える。
外の風は水気を帯びて冷たくて、でも、手元から根菜のことこと煮える湯気が立っていて、
暖かさと冷たさのコントラストが、わたしをフランスの山の中に一気に引き戻した。
1日かけて3日分ぐらいのお弁当を作り、
キッチンにある食糧をチェックしていたらブルガー小麦を発見。
どう食べるか散々調べたあげく、袋の裏のレシピを参考に、ただ、ゆでてみた。
フランスで初めてステイしたファームで、ゆでるだけの穀物を食べたんだけど、
そうかあれはもしかしたら、ブルガー小麦だったのかもしれない。
何をするにもフランス語しかなく、パッケージの裏のレシピですら辞書を片手に向き合ったっけ。
食べるものはいつもシンプルで、パスタをゆでてバターを絡めるだけだったり、
穀物を茹でて、煮物に添えるだけだったり、
野菜をザクザク切って、オイルをかけるだけだったり。
でも、そのどれもがしみじみとおいしくて、
「複雑なものはなにもいらない」、そう思ったんだった。
そうだ、あの気持ち。
それを思い出したくて、今晩のごはんは「複雑でない」ものに。
ブルガー小麦を少しの塩で茹でたものに、大根のサラダ。
オリーブオイルを回しかけて、小麦にはバターをひとかけら落とした。
毎日、いろいろなことに追われて、小さなことに心を捉われて、
今の場所が自分にとってどうなのか、振り返ることを忘れてしまっていたけれど、
あのとき、あの日、あの頃。「今の場所」をどれだけ望んだことか。
つまらないことに悲しんだり、不安になったりしている場合じゃないじゃない。
もういちど、自分の場所を確認しなくては。
Facebookには書けないので、心の中はこちらに。
2013年ーー今年もどうぞよろしくお願いします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結局、クレープリーは2軒しか行けず、+カフェ1軒でガレットを食べた。昼、夜2軒ずつハシゴするつもりで訪ねたものの、土日の滞在で店はすべて閉店(無念)。というわけで、この店がおすすめ!という言い方はできないため、結論としては「開拓してきてね」です(申し訳ない)。せめて、行ったお店の感想だけ。
それから、これまた写真がなく、しかも場所も伝えられないのだけど……ものすごく素敵なアンティークショップがありました。中心部に広場&教会があり、その場所から東へ行き、突き当たったところが坂の小道になっているはず。坂の小道には小さなショップがたくさん並んでいて、そこにアンティークショップがあるのです。アンティークばかりでなく、アンティーク風の小物がたくさんあって、この店を何度訪ねたことか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ざざっとで申し訳ない。地図を前にしたら、もう少し場所など伝えてあげられそうなんですが……。少しでも役に立ちますように。
あの時、会話についていくのに必死で味の記憶がないのだけど、今ではすっかりお気に入りで、仕事から帰っててどうしても飲みたくなると、夜中の2時でも車でLeffeを買いに行く(どんだけ……)。強いフレーバーとコクがおいしくて、そして日本ではなかなかに高い。1瓶400円くらい。
ホスト宅にお世話になっているときに、彼らは一切私にお金を使わせようとしなかった。どうにかありがとうを伝えたくて、1人で街に出たときにお土産に買ったのが、写真のLeffe1ケース。
「 C'est gentil 」
とホストが言って、その言葉をここで初めて覚えた。
それまで、ありがとうはMerci しか知らなかったから。