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ネコな海老 nekoebi.exblog.jp

ネコな海老


by neko_ebi

石の家に住みたい(WWOOFステイ先)

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きっと誰でも、子どもの頃に大好きだった童話のひとつや二つはあるだろう。私のそれは、「ヘンゼルとグレーテル」だった。だけど、憧れたのはドアも壁も食べれる“お菓子の家”ではなく、小石やパン屑をそっと道に落としていくヘンゼルの賢さや、兄を助けようと必死に知恵をめぐらすグレーテルの優しさだった。兄妹で助け合って命をつないでいく兄妹愛も幼心に響いた。




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わたしは2歳年下の弟ととても仲がよくて、毎日一緒に釣堀に行ったり、竹林で秘密基地を作ったり、駄菓子屋のゲーム機で元手20円のお金を100円相当のコインに増やして食パンを買い、近くの用水路に放り投げて鯉を50匹ぐらい川下から集めたりした。駄菓子屋のオバチャンは、週に2、3度訪れてゲーム機で荒稼ぎをしては、おもちゃでもお菓子でもなく食パンに替えていく幼い姉弟を見て、あらぬ想像をしていたかもしれないが、わたしたちにとって鯉集めは、そのころ最強の遊びだった。
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二人でビックリマンシールを集めた。弟からキラキラのカードを無理やり徴収した。ファミコンゲームで必ず形勢不利になる私の最終兵器は、赤いリセットボタンだった。一緒に自転車で出かけると、どうしても弟の自転車のほうが早く、かつ軽くこげるように見えて、道中なんども自転車の交換を申し出た。弟は何も言わず快諾した。

でも、本当のところわたしは弟が大好きで、そして時々はとてもやさしかったのだ。一生懸命貯めたお小遣いで弟のために上州屋で釣竿を買ってあげたし(800円だった)、弟がスーパーで大のお漏らしをしちゃったときは、周りに気づかれたら傷つくだろうと、駐車場の陰に弟をそっと隠しておいてあげた。
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いまよりもずっと長かった1日の大半を、弟と一緒に過ごした。素直でかわいい弟が大好きだった(もちろん今も好きだけど、子どものころは目に入れても痛くないほど好きだった。いまは目に入れたら痛いよな、と思う程度に好き)。

ひょんなことから久しぶりに「ヘンゼルとグレーテル」のお話を思い出してみた。でもやっぱり今でも「お菓子の家」には憧れない。そんなにたくさんのお菓子は食べきれないし、限りがあるからお菓子はきっと魅力的なのだ。

お菓子の家はいらないから、石の家に住んでみたい。ゴツゴツと不恰好な外観の中には暖炉を据えて、床や壁のざらざらや凸凹を愛でたいと思う。もしものんびりとした田舎にどんな家でも建てていいよと言われたら、迷わず石の家を建てようと思う。木枠の窓を嵌めて、いっぱい切り傷のついたテーブルを家の中央に据えて。

★写真はフランスでのステイ先。どのホストの家にも「完璧な仕上げ」は見受けられなかったけれど、そのどれもがいい味を出していて、草の緑や空の青、雪の白と合わさると見事に素敵だった。

【1枚目】1軒目。ホストと義父の完全手造り。
【2~3枚目】2軒目。ベランダ壊れそう。でも家の中の色使いがとても素敵。
【4枚目】3軒目。中には手造りのパン焼き窯があり、とても美味なパンが焼けるのだ。
by neko_ebi | 2010-02-25 04:33 | 旅(フランス)