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ネコな海老


by neko_ebi
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チャイとカップ。

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大切にしているものがある。
今日はふたつだけ、こっそり話をしようと思う。



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1つ目、チャイ。正しくは、チャイと、チャイにまつわる思い出。
カルダモンやジンジャー、クローブやシナモンを入れた、スパイシーで甘美な紅茶。

ある年の秋の終わりだった。東京から大阪までバイクを走らせた後で、体はひどくくたびれていた。走った距離と時間の長さを計り直して、さらにぐったりした。泣きたいくらいに寒くて、それはもう、ほとんど泣いていたと言ってもよかったかもしれない。

私を部屋に招き入れた大阪の家主が言った。

「チャイを、作ってある」

薄く張った氷に、ストーブで沸かしたお湯をたらたらと注ぐような溶かし方だった。
彼女のチャイはやさしい強引さで、しみじみと体を温めてくれた。

あの日以来、寒い夜の飲み物はチャイになった。ココアではだめで、カフェオレでもだめで、どうしてもチャイじゃなければいけない夜がある。甘くてエキゾチックな液体の中にはいつだって、あのやさしさがこっくりと溶けているような気がする。


2つ目は、カップ。
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温かなものを飲むとき、いつも想像することがある。

外には木の葉の絨毯が広がっていて、木のカサカサという音が風の間を泳いでいて、私は窓越しにそれを眺めていて、温かな飲み物を手にして、ご飯は何にしよう、とか、フルーツは必要か、とか、散歩に出るべきか、なんてことをいい加減に思考している。

椅子に座って、両肘をテーブルについて、カップを両手で包む。カップを持ち上げるときはほんの少し肩をすくめて、テーブルに置いている間は両手でそっと胸に抱え込む。とても幸せな感じだ。温かな飲み物を飲むときに、必ず頭に思い浮かぶ風景。

カップはいつだって、お気に入りの形で、お気に入りの色でなければいけない。注ぐものが同じだったとしても、カップが違うだけで味は格段に違うはずだ、と思っている。味覚と想像力は共存しているから。

だから、運命のカップに出合うということはとても幸福なことだと思う。
なかなか見つからないのだ。長い間出合いを待っていた。ずっと、探していたんだ。
(探しているのは、恋人だけじゃないのだよ)

くちびるや歯にザラリと触れる感覚が好き。
やわらかな曲線は、隙間を惜しむように手の平にぴたりと吸い付く。
神秘的なブルーは、強引でやさしいチャイもよく似合う。

とても大切にしている、チャイの思い出とそれを受ける器。
お気に入り過ぎて、どちらもひっそりと自分だけのものにしておきたい。
本当はそう思っている。書いちゃったけど。

器:pot blue


【追伸】

ちょっとセンチメンタルな感じじゃないか、と思っているでしょう。
だけど、例えば一昨日のデートが思うようじゃなくて、
次のデートにつながりそうもない空気を感じちゃったりして、
淋しくてセンチメンタルになったりしているわけじゃ、決してないんだから。

宣誓! これからも、強く、明るく、正しい狩猟生活を続けることを誓います。
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by neko_ebi | 2009-02-24 03:56 | 愛すべきモノ