「落下する夕方」、そしてレモンスカッシュ
江國香織著「落下する夕方」。愛する人の喪失と、喪失できない愛のあいだで、形を変えてながら移ろいでゆく主人公の心が、うんと些細かに静かに書かれていて、ひっそり息を詰めながら読みました。
読み終わった直後で神経がほんの少し過敏になっていたからだと思う。ずいぶんと古い記憶が、生まれたての傷のように生々しく蘇ってしまいました。もう平気で立てていたはずの場所が、おどろくほど怖くていられなかったり・・・。びっくり。
しばらく、江國香織月間が続きそうです。
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小説を読むと必ずといっていいほど影響されるのが、食べ物。先日読んだ、村上春樹「羊の冒険」では、キュウリ・サンドウィッチを食べたくなったし、ウィスキーも飲みたくなった。昔よく読んだアメリカの探偵小説は、決まってコーヒーとドーナツを私に食べさせた。
そして今回は、「セブンアップ」。それも、缶の。
梨果と健吾と華子が、朝も昼も夜もセブンアップをよく飲んでいたから。
“セブンアップの缶を開け、喉を鳴らしながら飲んだ”場面なんてのがよく登場するもんだから、本を閉じた後、たまらず「セブンアップ」探しに出た。夜中の1時に。コンビニ1軒と7つの自動販売機を探した結果、セブンアップはなし。残念だけど仕方がないので、代替品を購入した。
レモンスカッシュ。
なつかしさ的には同じなんだけれども、セブンアップではない。
同じ自動販売機で、もうひとつ購入。
「ピーチネクター」。
とろりとした甘さが無性になつかしくなって、ついボタンを押した。
トロトロとトクトクと濃いジュースを缶から出して、後で飲もうっと。
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主人公の梨果はとてもキチンとした人で、朝起きて、とても丁寧に紅茶を入れて、掃除をして、洗濯をして、ベッドカバーを替えて、植木をベランダに出したあと、ソファで雑誌を読んだりする。だからそれにも影響されて、朝起きて、まずベッドカバーを替えた。洗濯もした。そしてただいま掃除中。
本当は、ただいま掃除中の休憩中(でこれを書いてる)。