「アヒルと鴨のコインロッカー」
嫌だ。ページをめくるのがものすごく嫌だ。めくりたくない。いっそのこと閉じてしまいたい。
めくる。いや、やっぱめくらない。
めくる。いや、めくらない。
めくる。めくらない。
めくる。
めくる。
めく・・・らずにいられない、そんな本でした(どんな本だ!)
早く読みたい気持ちと読み終えたくない気持ちの狭間で、
贅沢な葛藤を繰り返しました。読みたい、けど終わらせたくない。ああ困った。
ケーキの最後の一口を、もったいなくて逡巡しちゃうようなかんじ。
「アヒルと鴨のコインロッカー」は、そんな小説でした。
主人公・椎名の心の声の「間」が愉快でころころと笑っていると、いつしか物語は心をざわつかせる展開に。しんどい出来事がてんこ盛りなのに、そう感じさせない。
登場人物それぞれの潔さが、陰鬱な部分をカバーしていたのだと思います。
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「シッポサキマルマリが来ただろ?」
あ、これは悪魔の言葉に違いないな、と思った。
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ここが好きでした。尻尾の先が曲がった黒猫が出てきます。愛称は「シッポサキマルマリ」。
そうか、そんな名前もかわいいな。じゃあ家のは・・・
「フトッチョシママンマル」と「ネズミチッチャメ」でしょうか。
おでぶなシマシマと、グレーで目が小さいブチャイクちゃんですから。